ノーランディングという言葉がはやっていますね。ここ数週間くらいで出てきたでしょうか。ハードランディングでもソフトランディングでもなく、このまま景気が再浮上していくということです。
それに加えて、高い政策金利でインフレ率が高いままの状態をキープするとのことです。こんなことが続くのでしょうか。これについて考えることを書きます。


インフレ率は2%を目標にしていたのは
そもそもインフレ率を2%に抑えなければならない理由は何だったでしょうか。これは失業率を上げずに物価高を抑えるための目標値です。一言でいうとインフレ率を下げていったら失業率が下がっていくけれど、インフレ率を2%以下にしても、失業率はそれ以上には減らないよねということです。
米のインフレ率は2%よりずっと高いですが、失業率は過去最低に近づいています。これ以上、下がらなさそうです。ノーランディングでは、それならすぐにインフレ率を下げなくてもよくないのでは?ということのようです。
インフレ率と給料
2%のインフレ率とはドルの価値が2%下がることを意味します。言い換えると物価が2%上がることです。ただ、給料がそれ以上に上がれば、問題は解決されそうです。
去年 リンゴ1個=1ドル
今年 リンゴ1個=1.2ドル
給料 1.25倍
⇒値上がりやむなし。むしろ健全な経済成長。
ポイントは給料が上がるかです。足元は米の給料は大幅な上昇を続けています。ただ給料は永久に上がり続けるでしょうか。
日本の例を見ても足元の経済状況だけでなく将来の経済成長への期待で給与の上昇を決めそうです。その時一つの指標になるのは潜在成長率=自然利子率でしょうか。潜在成長率は諸説ありますが、2%強くらいの意見が多いようです。4%~5%の昇給がずっと維持できると考えるのは非常に無理がありそうです。
今昇給が続いているのは記録的な人手不足があるからです。長引く可能性はありますが、恒久的なものでは決してありません。長い年月ではテクノロジーの発達で解決されていくでしょう。若年労働力もまだ新興国からは供給されますので、アメリカが移民政策を間違えなければ問題ありません。
全てがうまくいくことは?
そうであれば、ある程度の景気が良いまま、当面は高インフレを続け、徐々に2%程度に落ち着く可能性はあるのでしょうか。可能性としてはありますが、非常に難しい道です。偶然やタイムラグが重なりあう市場で、FRBの金利政策、QT、財務省の財政政策などがすべて「ハマる」ということです。希望するのはよいですが、これに賭けるのは健全ではないでしょう。
まとめ
結論としてはノーランディングをメインシナリオにして投資するのはあり得ないと思います。
短期的にはよい状況が起こりうるかもしれませんが、あくまで特殊な条件がそろった場合の一時的なことだと割り切りましょう。長期投資には何の関係もありません。
結果的に少し利益をとりはぐれることがあるかもしれませんが、しっかりとディフェンス力を考えたいです。
繰り返しですが、ディフェンス力とは現金で持つことでなくあらゆる状況で購買力を落とさないことです。