原油の値段が毎日発表されます。
原油というのは地中から掘った石油のことですね。
この値上げよってモノの値段が全般的に上がるという言い方をします。原料・加工費に大きくかかわるからですね。ちょっと視点を変えて株主的な観点での値上げの増幅についてお話をします。


原油の値段
アメリカのニュースを見ているとWTIの原油先物という言葉がよく出てきますね。
世界には三大原油指標というものがあります。ウエスト・テキサス・インターメディエイト(WTI)原油、北海産のブレント原油、中東産ドバイ原油です。細かい話をすると性質や取引方法の違いとしての指標の意味もあるのですが、WTIだけが原油価格のすべてではないということですね。
原油の値段は需給だけでなく、政治的なことでも大きく変わります。またウクライナ戦争前の世界の三大産油国が米、ロシア、サウジアラビアと一筋縄ではいかない国ばかりです。
OPECというカルテルが認められているは、戦争で価格が吊り上がるはで修羅の世界です。
石油製品の値段
日本で石油製品の価格の話をするときは、ナフサという、原油を加工したものの価格を指標とします。三共化学さんの図をお借りします。黄緑がナフサ価格で、klに対して円で表します。グラフのナフサの数値は左です。
もちろんナフサの価格は原油に連動します。20年のコロナで25,000円/klまで落ちて、その後のウクライナ戦争などで85,000円/kl程度まで上がり、また最近落ちてきているということですね。

ナフサが1000円/kl上がると、化学品の基礎原料は2円/kg上がるといわれています。基礎原料とはビニル袋で使われるポリエチレンなどです。プラスチック各種、塗料その他幅広く石油から作られるもので身の回りはあふれています。
上の図で見ると、最大でナフサは60,000円/klくらい違います。その時ポリエチレンは120円/kgくらい値上がりするということですね。まあ指標の極端なところを除くと「50円/kg上がった」などでしょうか。
私たちが買う製品の価格
ナフサと関連薄く値動きする化学製品もあります。また物を作る時の燃料費も上がります。
ただ最近の私たちが買う工業製品の上昇は、感覚的に「kgあたり数十円値上がりした」というレベルではないですよね。
結局は私たち投資家に原因があると思っています。私たちは原料代だけを転嫁することを望みませんよね。株価的には利益率として、原料値上げをカバーしてほしいと考えますので原料価格以上に製品価格が上がります。それがサプライチェーン全体で起こるので、結局私たちの手元に製品が届くまでにはその増幅が何重にも起こります。
私も原料値上げを販売価格でカバーできない企業の株は買いたくないです。
もちろん個別取引では、力関係で値上げ出来ないものはあります。ただしモチベーションとしては常に「隙あらば」と考えるということです。
(そのほか増幅装置として歩留まり、人件費、輸送費、加工費他もろもろありますが略です)
今後の物価
今原油値段はかなり最高値より下がっています。感覚的に値段が下がっているものはすくないのではないでしょうか。もちろん取引のタイムラグもありますが。
ここでもう一度原油・ナフサが値上がりしたら、、、思いっきり物価が上がりそうです。
原油の価格動向は要注意ですよ。